某調剤薬局グループの森さんから勉強させてもらってます。
大阪時代の話からあるサイトも教えて頂きそこの一文を紹介します。
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱している「組織の成功循環サイクル」では、組織の成功は個々の「関係の質」から始まると説かれています。この「関係の質」を高める上で有効な手段となるのが、スタッフとの個別面談です。
良い組織を作るためには、やはりコミュニケーションの質と量が不可欠だと実感されたそうです。
「分かり合えない」と突き放すのではなく…
大きなポイントになったのは、梶川院長が面談に臨む際の姿勢でした。面談において院長が心がけているのは、「目の前のスタッフを人としてみる。スタッフは物ではなく、医院・院長にとって都合の良い道具でもない」ということ。そして、スタッフの考えが院長自身の考えと違ったとしても、「このスタッフはダメだ」「この人とは分かり合えない」と思わないこと。院長がそう思った時点で、そのスタッフとの関係は終わるというのです。当たり前のことのようですが、案外このあたりは疎かにされがちです。
そもそも組織とは、価値観が違う人の集まりです。短期的に価値観や考えを押し付けようとしたところでうまくいきません。時間をかけ、対話を重ねながら価値観が共有され組織は強くなるものです。
また、面談は交渉の場ではありません。院長はスタッフの考えが自分の考えと異なっていても、それを否定せずにいったん受け止め、分かり合えることを信じて向き合うことが大切です。お互いの考えや想いを聴き合い、伝え合うプロセスこそが良い組織風土を作るのです。
梶川院長はそうした考えのもと、短期間で結果を求めることなく粘り強く面談を継続しました。これにより、ゆっくりとではありましたが、医院の方向性や院長の考えがスタッフ一人ひとりと共有されてきたと感じるようになりました。前述のメッセージカードをもらったときには、院長はスタッフとの「関係の質」の高まりを感じ、嬉しくなったそうです。
梶川院長はこのほかにも、対話の目的や進め方にも留意しながら面談を行いました。この2つは、面談を成功させるポイントになりますので、順に見ていくことにしましょう。
(1)面談の目的を明確にする
私は、面談を行う上で一番大切なのは、「目的の明確化」だと考えています。いくらコミュニケーションの量が大切だからと言って、世間話ばかりの面談が続くと、スタッフから「何のための面談なのか分からない」と思われ、長く続かなくなります。梶川眼科医院では、面談の目的を以下の3つにしました。
・医院の方向性をすり合わせる。
・スタッフの成長(自分で考え、自分で行動できる「自立型スタッフ」への成長)や目標達成に向けて、必要な知識やスキル、役割、ツールなどを本人に合わせて備えさせる。
・ねぎらいや感謝の気持ちを伝える。
(2)面談の進め方を工夫する
面談のゴールは、終わった時点でスタッフが前向きな気持ちになっていること。理想を言えば、スケールの大小にかかわらず、スタッフが前向きな気持ちで何かの目標を持ち、その達成に向けてのアクションが明確になっていることです。梶川院長は、この点に留意しながら面談を進めました。
実際の進行に正解はありません。スタッフとの関係性や本人の意欲によって面談内容や進行方法は異なります。
あくまで一例ですが、一般的な流れをご紹介します。まず、スタッフにねぎらいや感謝を伝えるなど、プラスのフィードバックから始めるとスムーズな進行につながりやすくなります。スタッフにとって話しやすい雰囲気になるためです。男性院長であれば少し照れが生じるかもしれませんが、自身が思い描くよりも2倍ほどのトーンで表現してもらうと気持ちが届きやすくなります。
そして、スタッフの近況を聴き、現場の状況に話を移します。業務のこと、チームワークのこと、患者さんのこと等々……。日々、現場で頑張るスタッフは業務や人間関係のことで課題を抱えているものです。それを丁寧に拾い上げます。また、継続して面談している場合は、前回の目標を振り返ってもらいます。
言いたいことがたくさん出てきても…
スタッフの話を聞いていると、言いたいことがたくさん出てくると思いますがグッと我慢です。面談の主体はあくまでスタッフです。院長は、まずは傾聴と共感を心がけてください。理想の面談において、面接者(院長)の話は全体の2~3割ほどと言われています。また、人は傾聴してもらえると、相手の話を受け入れやすくなるとも言われています。後々に院長の意見を聞いてもらうためにも、まずは先に聴いてあげることが大切です。
スタッフにとって話しやすい場を作ることを心掛けていると、前述のメッセージカードの例に表れているように、スタッフにとっても面談が有意義で楽しみな場になってきます。
そのように傾聴を心がけながら、「どうしてそう考えたの?」「どういう狙いがあったの?」「実際にどうしたの?」「どうなったの?」「次はどうしていく?」など、詰問と感じさせないように丁寧に問いかけていくと効果的です。
コーチングにオートクラインという言葉があります。自分で話した言葉が自分自身に作用することを言います。スタッフに話をしてもらうことで、自分自身の中で考えを整理させたり、気づきを起こさせたりするのです。これは、主体的な行動にもつながりやすいと言われています。
どうしてもスタッフから課題に対する解決策が出ない場合は、手を差し伸べ一緒に考えますが、基本的には自分で考えてもらうことがポイントです。
また、共感や傾聴も大切ですが、医院の方向性や院長の考えと違う部分があればしっかりとすり合わせることが大切です。相手の意見を頭ごなしに否定せず、でも院長の考えをしっかり伝えるようにするとよいでしょう。
このようにして、スタッフと課題を共有し、次のアクションにつなげていき、一緒に「思考→行動→検証→改善」のサイクルを回します。その継続により、スタッフと方向性が共有され、スタッフ・医院がともに成長することにつながります。
スタッフは、院長と話すことに多少なりともストレスを感じるものです。それが面談ともなると身構えてしまうかもしれません。それでも、スタッフには院長に理解されたい・認められたいという潜在意識が根強くあります。「院長と分かり合えた」という充実体験は、組織を強くするでしょう。
組織作りは、院長とスタッフの「関係の質」を高めるところから始まります。面談を実施していない方は、まずはスタッフの近況を傾聴するところから、気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
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